本土の人間は知らないが沖縄の人はみんなが知っていることを読んでみた

本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること 須田慎太郎・矢部宏治   出版:地方・小出版流通センター 2011年6月


まず沖縄問題について知ろうと思ったきっかけはかつて天皇陛下が皇太子のころに沖縄を訪れた時の映像をたまたまニュースで見たからです。ひめゆりの塔事件と呼ばれるこの出来事は衝撃的でした。辺野古への移設問題はもちろん知っているけれど、このニュースを見てから本当の沖縄問題について知りたくなりました。

まずこの本は筆者が実際に沖縄に行き、現地の人に助けられながら米軍基地や歴史のポイントなどを見てまわるという設定になっています。須田慎太郎さんは写真家なのでそれぞれのトピックごとに写真があり、内容が想像しやすくなっています。
私は以前まで、アメリカは日本を守ってくれていると思っていました。原爆の恐ろしさを知って戦争をしないために戦力を持たないと決めたんだ、代わりにアメリカが日本を守っている。と誰かに教えられたのか、勝手に思っていたのか、なぜかそう思っていました。これは本土に住む私が知らないから思っていたのでしょう、沖縄の人は知っているからそんな風に思ってはいない。結局外交とは国益の上にしか成り立たないものであるんだということが客観的に書かれています。
飛行機が学校の上空を飛んだり、土地を奪われたり、常識ではありえない事実が書かれていますが、特に衝撃的だったことは新安保条約についてです。新安保条約は以前の条約となんら変わっておらず、この条約に関わる官僚・制度・性質が沖縄問題を解決に導かない理由だと述べています。
米軍がみずからの戦争戦略にもとづいて駐留していること自体が抑止なのであって、日本の防衛に関しては基本的に日本の責任である。それが1960年に結ばれた新安保条約の本質なのです。

ここまではっきりと述べています。政治家・官僚の腐敗が明らかになっています。

筆者はアメリカ軍基地の撤廃を掲げていて、終盤から少し意見を前面に押し出しすぎかなぁと思いましたが、本土・沖縄関係なく、日本人として知っておくべきことを分かりやすくまとめられています。こうして一つ一つの歴史や背景を知っていくと憲法改正や外交問題、政治の本質が見えてきます。アメリカとの外交関係の本、沖縄戦の戦争史を読んでもっと理解を深めようと思いました。


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